ハンセン病問題の軌跡と展望 - 差別禁止規定の可能性(6)

冒頭部分: ここまで,ハンセン病とはどのようなものなのか,どのような歴史を辿って当事者たちの名誉回復が図られてきたのかなどを述べてきた。日本には,「癩予防ニ関スル件」「癩予防法」「らい予防法」という3つの人権無視の法律が存在していたことが分かった。法律の大義名分としては,「国家の体面のため」や「周囲の人々のため」に隔離を行うというものだった。まさしく「公共の福祉」の「悪用」とも取れるような理由である。